3ヶ月だけください

毎回1つのお題に4人のブロガーが答えていく期間限定ブログ

「3くだ」は終わるけど、終わらない。

「3ヶ月だけください」という共同ブログを、4月2日にオープンしたわけですが、タイトルのとおり「3ヶ月」たったので、本日にてこのブログは終了となります。早いもので……とかいうと定型文ぽいですが、本当に「えっ、もう終わり?」というのが私の感想です。

今回のお題は、「3くだで書き足りなかったこと」。4月から始まって、「インターネットとリアルの境界線」、「個人プレイの人が、コラボレーションの人になるとき」、「人生に恋愛が必要な理由」、「書くことをやめる時」と4つのお題について書いてきましたが、書き足りなかったことはたくさんあります。というか、4つ書いて済むくらいなら、とっくにブログなんてやめていることでしょう。

1つ1つのお題を振り返ってみると、まず「インターネットとリアル」については、自分のブログのほうで「「ポスト・インターネット」の時代と情報の濃度 - (チェコ好き)の日記」というエントリを書いたんですが、今後はますます両者はシームレスに、地続きになっていくんだと思います。今はまだ「オン/オフ」という言葉が有効で、インターネットで知り合った人とリアルで会うことを「オフ会」とかいっているわけですが、これからは常時接続が当たり前、リアルで先に出会った人もインターネットで先に出会った人も区別しなくていいしする必要がなくなってくるような気がします。私はインターネットの世界に触れるのが比較的遅かった情弱なので、2年前くらいまで冗談抜きで「ネットで会った人なんかに実際に会ったら山に捨てられる」と思ってたんですが、今はネットで先にその人の事前情報を仕入れてから会うほうが話が弾むし安心、とか思ってます。私がパない情弱なので良い例になるかと思うんですが、人の感覚って変わるものです。今のところはまだ1回も山に捨てられてません。

2つ目のお題については、なんかもう少し深い話をしたかったなーという思いがあって、うまくいえないんですけど、1+1は2じゃないんですよね。1+1は、うまくやれば3にも5にも10にもなる。私は先日神保町のEDITORYというところで自分を含む3人でトークイベントをやったんですが、この3人って、アート、メディア、恋愛と得意分野がバラバラだったんです。でも、手前味噌ですが、これはやっぱり楽しかったなーと思っていて、というのも、アートについて面白いことを思いつく人っていうのは必ずしもアートに詳しい人じゃなくて、アートについてほとんど何の知識も持ってない人だったりするんです。専門家になりたいと思ったらそりゃあ勉強しなきゃだし、私自身もまだまだ薄っぺらいんですが、「ちょっと面白いことをいう」とか「根本的なところに疑問を投げかける」とかだったら、わりとだれでもできるんです。というか、一度その分野に詳しくなってしまったら二度と素人にはもどれないわけで、でも素人の意見とか疑問とか提案っていうのがけっこう本質を突いてて大切だったりするんですよね。「体験至上主義(体験した人や当事者のほうがエライ)」、「知識至上主義(より多くの知識を持っている人のほうがエライ)」っていう価値観に私はどうしても一石を投じたくて、でもうまくできなくてもがいているんですけど、たぶんこれからもそのあたりの話はしていくのではないでしょうか。だから、3つ目のお題「恋愛」で、自分の普段のブログではめったに話題にしない「恋愛」について思う存分語らせてもらって、正直言葉が足りなかったなーと反省した部分は多いんですが、まあこれはこれで良かったんじゃないかと思っています。

4つ目のお題は、私は「ブログをやめる時」ということにして話を展開していったのですが、始まりのあるものには必ず終わりがあるので、その終わりを意識して書きました。ただ、「3くだ」の4人は、現状ではなんだかんだいいつつみんな書くのをやめる気配がないじゃないですか。でもこれ、実際に「書くのをやめちゃった人」に話を聞いてみたら、もっと面白かったんじゃないかって思いましたね。我々書いてる側の人間はそのときのことを想像するしかできないけど、実際にやめちゃった人は、実体験として語れるわけですから。もちろん、「書くのをやめちゃった人」に語ってもらうのめちゃめちゃ難しいよって話ではあるんですが。


さて、4つのお題の振り返りだけでこんなに紙幅(紙じゃないけど紙幅)とってて大丈夫なのかって話ですけど、「3くだで書き足りなかったこと、話してみたかったこと」はいっぱいあります。2つ目のお題や3つ目のお題に絡んでくる話ですけど、「ブロガーのブランディング問題」、これは他の3人にちょっと聞いてみたかったです。私自身は、ブランディングというほど大それた意識高いことはやってないですが、それでも「アートの人」として認識されたかったので、今まではひたすらアートやサブカルのことを書き綴ってきました。それで、今後も軸足をそこに置き続けることに変わりはないんですが、「意外な人から意外な発言が飛び出す」っていうのがやっぱり議論を硬直化させない上で重要なんじゃないかって思ってきたわけです。うーん、だから5つ目のお題とかを出していいなら、「今までブログに書かないようにしてきたこと」とか、やってみたかったですね。

あとは、回数が限られていたので結局だれもお題としてあげなかったけど、すっごいくだらない話とかもしてみたかったなーと思います。「私の黒歴史」とか。自分はサブカルクソ野郎なので黒歴史だらけなんですけど、中学生のとき友達の誕生日に、エロ小説を書いてプレゼントしたことがあるんですね。友達の微妙な表情が忘れられません。なんでそれが誕生日プレゼントになると思ったのか、本当にアホだなというかんじですけど、あ~でもそれがどんな内容のエロ小説だったのかとか、それはさすがにワールドワイドウェブに載せたくないな、これをやらなかったのは賢明な判断だったのかもしれませんね。とりあえず、今後私が何をいおうとも、所詮は「中学生のときにエロ小説を書いてたアホ」です。でも、みんな書きますよね? エロ小説。書かないのかな。ちなみにそれはBLではありませんでした。

他には、「書き足りなかったこと」じゃなくて「やりきれなかったこと」ですけど、もっと読んでくれる人とつながりというか、話題をぐるぐるまわして面白いことやっていけたらよかったのになー、みたいなことも思いました。それは、またどこかで機会があればやりたいなと思ってるんですけど。


とりあえず、「3くだ」を継続的に読んでくださっていた方がどれくらいいたのかわからないですが、私はこの3ヵ月、毎週木曜日に「あ、今日は3くだだ!」って思うくらいには楽しんでいました。それで、「3くだ」は終わるけど、4人の個人のブログのほうはもちろん終わらないし、きっとまたどこかで、何らかの形で、だれかをわくわくさせられるようなことができたらいいなと思っています。「次は何をしようかな?」って考えるのが私は楽しいです。

なので、「3くだ」は終わるけど、「3くだ」の進化形のようなものを、おそらくみなさんはまたどこかで目撃することになると思います。

そのときは、また一緒に遊びましょう。

著者プロフィール

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(チェコ好き)の日記」で旅・読書・アートのことを書いてるひと。芸術系大学院卒、専門はシュルレアリスムと1960年代のチェコ映画。ブログはBLOGOSにも寄稿(転載)中です。好きな言葉は「優雅な生活が最高の復讐である」。